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世界の基軸通貨だが、先行きには不透明感も?

◆ 世界の基軸通貨米ドル 他通貨への影響大 ◆

通貨の王様 米ドル

米ドル(USD)は、なんといっても世界の基軸通貨(キーカレンシー)ということで、マーケットでも圧倒的な強さを誇っています。
世界各国で決済用通貨として用いられているため、米ドルさえもっていれば、国際取引に困ることはないでしょう。
このため、外為業者やロイター、ブルームバーグ等の通信社から出される情報が米ドル中心になっています。
ですから、情報にはそれほど困りません。
米ドルを動かす要因には米国の経済指標、政策金利の問題があげられます。
米国の政策金利は、毎回米連邦準備理事会(FRB)というところが、米連邦市場公開委員会(FOMC)で決定します。
2000年までは政策金利が6.5%と高金利でしたが、その後徐々に引き下げられ2001年の同時多発テロを契機に利下げが進行し、最低で1.00%台が続いていました。
ところが、景気回復によるインフレ警戒感から2004年6月に0.25%の利上げが行われ、以降FRBは2006年1月のFOMCまで14回連続で利上げを行っています。
さらに今後も追加利上げの観測も出ている状況です。
またそれ以外に注目しておきたい原油相場との関係。
前にご説明したとおり、米国が世界最大の原油消費国であるため、原油相場の高騰は米ドルを下落させる材料とされています。
原油高が米景気に与える影響をみるには、米生産者物価指数(PPI)や米消費者物価指数(CPI)、米貿易収支などが有効です。

◆ 今後の米ドルの動向 ◆

昔は「有事のドル買い」などといわれ、何が事件が起きたりして世界経済への不安が広まると、米ドルを買って決済資金の確保する動きが強まりました。
現在もその傾向に変りはありませんが、9.11テロの時には米ドルの決済が一時的にとまったこともあり、今では米ドル神話に陰りが見えていることも事実です。
また、米国は先に述べた「双子の赤字」問題を抱えていることも米ドルに対する不安要因の一つとなっています。
そのため各国では外貨準備を米ドルに限定せずユーロなどでも行おうという動きが広がっているようです。
さらに、OPEC(石油輸出国機構)が決済通貨を米ドルからユーロへの変更を検討しているとの報道が出るなど、基軸通貨=米ドルのゆらぎが見られます。
もちろん、すぐに米ドルが力を失ってしまうとは考えにくいのですが先行きには不透明感が残っているといえるでしょう。
今後、「米雇用創出法」等の米ドル高政策がとられれば短期的に急騰する場面も見られるのではと予測されます。

CHECK POINT

ロイター/ブルームバーグ
両者とも世界の金融市場やメディア向けに幅広い情報やニュース、技術を提供している国際通信社。
一般にロイターは幅広く情報を提供し、ブルームバーグは金融経済情報に強いといわれています。

米雇用創出法
米国内での投資拡大を促し雇用を促進するための法律。
海外子会社をもつ米国企業がその子会社で上げた利益を米国に送金する際の税負担を大幅に軽減するというもの。
2005年限りの時限立法であった。2005年後半は、この法律にからむレパトリ(資金の国内還流)で、ドルが続騰しました。

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