■2007年7月17日
◆ 市場では「グループ」としてみなされる ◆
普通は、日本円の動きには日本の政治経済の事情や天候事情等が影響します。他の通貨もそうです。米ドルは米国内の事情、ユーロはユーロ圏の事情、などなど…
ところが、いつもそうとばかりは限りません。
例えば、中国人民元の問題で言えば、2005年7月21日、かねてから噂されていた中国人民元の切り上げが行われました。
すると、前日113円半ばまで上昇していたドル/円が一気に下落し、一時109円台をつけました。
たった1日で4円近くのドル安・円高となったのです。
このとき、中国人民元のニュース以外に特に円を押し上げるような強力な材料はありませんでした。
日本にとって中国はお隣の国ではありますが、あくまでも別の国のことです。
ここで、日本と中国の関係について考えてみましょう。
日本の輸入国のトップは、中国。もはや、中国の動向は日本にも直接影響してきます。
ちなみに、中国人民元切り上げ以降、シンガポールドルや韓国ウォンなどのアジア通貨も上昇基調をたどりました。
アジアは為替相場において、ひとつのグループと考えられているのでしょう。
このほかにも豪ドルとニュージーランドドル、ユーロと英国ポンドなどもそれぞれ互いに影響しあうことが多いようです。
今後も中国人民元は徐々に上昇するだろうと予測されています。
ですから、「中国人民元再切り上げ観測浮上」「中国人民元、再切り上げ」などのニュースには注意が必要ですね。
◆ 相場は思惑で動く ◆
これ以外にも他国の通貨に影響を与える材料があるのです。それは、テロ懸念。
テロ懸念は、テロ発生国と関係する国の通貨にとって弱気材料となります。
ですから、イラクでテロが起きた時には「今度は米国本土でテロが起きるかもしれない」との懸念が浮上し、ドル売りが活発になることも多いようです。
しかし、2005年7月にイギリスのロンドンで同時テロが起きた時も、米国でのテロが連想され、ドル安に振れた場面がありました。
そして日本がイラクに自衛隊を派遣した後は、「次は日本でテロが起きるかもしれない」との思惑から、円安に振れる局面もありました。
ところで、テロやテロ懸念が為替相場に与える影響は、一時的なものが多いようです。
これまで見ている限りでは、一時的に大きく動いても、徐々にそのときのトレンドに戻っていくことが多い。
ですから、中・長期的な取引を行っている方は、それほど気にしなくてもいいかもしれません。
ただし、テロの規模しだいでは、その広がりや影響を見極める必要が高くなると思われます。
CHECK POINT
中国人民元の切り上げそれまでの固定相場制から、通過バスケット方式(135p)を採用した管理変動相場に変更したこと。
これにより、1ドル=8.2765元から、1ドル=8.1100元となり、2%の切り上げが実施されました。
トレンド(基調・傾向)
相場の値動きの基本的な傾向。
チャートの山を結んでできるラインを「トレンドライン」といい、このラインが右肩上がりであれば「上昇トレンド」=相場が上昇傾向にある、下がっていれば「下降トレンド」=相場が下落傾向にあると判断できます。